我こそは鬼。
南無阿弥陀佛
雪解けの待ち遠しい時節となりましたが、残寒はまだまだ身を震わします。
寒さの中にあるほど、脈打つ血潮の温かさがいとおしくなると知りたいものです。
今月に入って間もない頃、跡取りが幼稚園でお豆さんを授かってきました。
嬉しそうにお豆さんの袋を振り回しながら、「うちで豆はまかないの?」の言葉。
どのように応えるべきか、素直に迷い、一瞬、時が止まりました。
真宗寺院に節分会はない。
鬼が自身の内に見出されるのが佛教だから。
ガッツリ真宗のお坊さんらしく応えようか、
それとも「父ちゃんがお豆さん食べるの苦手だからまかないよ」と濁そうか、どうしようか…。
同時に、幼い頃、同じような質問を父親にした記憶も思い起こされます。
そういえば、父にはピシャリと「私には必要ない」と言われたのでした。
「鬼は外。福は内。」
“真宗では豆まきをしない”…「しない」だけなら簡単です。
しかし、「しない」からと言って、悪をはらって、善を求める豆まき根性が私になくなったかと言うとそうではない。私は常に、嘘をつきながら生きています。
世間では、自分とは別に「悪」を作って、ひたすらに鞭を打って喜ぶ姿が目に付きますが、
実は私自身の日常と変わりがないという事に気付かず、悲しまないのが他ならぬ私。
「自分は正しい、他人が間違っている、という言葉ほど残忍なものはない」
と、太閤秀吉は書き遺していらっしゃいますが、それを他人に当てはめるのが、私の得意技のようです。
そんな私こそを救わんと、如来様ははたらかれます。
お念佛の響くところにこそ、
私こそ鬼であったとうなだれさせ、鬼の悲しみをも包むあたたかいうなづきがあるのです。
我こそは鬼。如来とともにある鬼。
お豆さんが苦手な私は、まさに鬼ですね。
合掌
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