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私の思う非常識

【坊守】


ごえさんだより・・・めっきりご無沙汰しております。……。なかなかごえんさんの重い腰はあがりません。

ネタは書き留めてある!と言っておりますが、書き留めてあっても、書き起こさないと記事にはならないんだよ、ごえんさん……。

 


今から10年前の10月。私は初めての出産を控えておりました。

いよいよ陣痛もやってきて、お腹が痛い。足の付け根も痛い。尾てい骨あたりも痛い。

産みの苦しみとは、まさにこのことか……。今すぐ叫び出したい!という痛みと戦っておる私に、ごえんさんがオロオロしながら、

「大丈夫か!?なにかできることあるか」

と聞いてくれるのです。

とにかく、この痛みをなんとかして欲しいと、「足の付け根が痛いんや。頼むでさすってくれ」と頼みました。

すると、「よしきた!」と、ごえんさんは、私の足首をさすり始めたのです。いつまでも足の付け根はではなく、足首ばかりをさするごえんさんに痺れを切らし……

「はよ付け根さすってくれ」

とまくし立てると、ごえんさんは、より高速で足首をさすってくれます。

お産中は気がたっております。触って欲しくもない所を撫でるごえんさんに

「もうええ!!」

と声を荒らげ、次々とくる痛みに備えます。

そんなこんなしておるうちにお産は進み、無事に出産となりました。


 

子育てのバタバタで、そんなやり取りがあったことも忘れていたのですが、今朝ふと、お産の話になりまして。10年越しでごえんさんにきいてみました。

「なんであの時、足の付け根さすってくれんやったん?」と聞くと、ごえんさんから返ってきた言葉は

「生まれてからそのときまで、足の付け根は足首のことやとおもっとった」……と。

ナンダッテ?!

ごえんさんにとって足の付け根とは、足首のことやったのです。じゃあ、足首から上の、ふくらはぎ、太ももはごえんさんにとって足ではなかったのか……。

「今までの常識は他人にとっては非常識なんやなぁ。気付かされましたなぁ。」

と朝ごはんを食べ、気が付けば、もう登校時間です・・・。

「はよかるい!」

と、とっさに出た山口弁で子供を送り出す私に、うちの嫁は何を言っているんだと目を丸くするごえんさん。

ああ、そうか。私が思う常識もまた、非常識でありました。

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